うんち君のこぼればなし
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ドーミン谷の仲間達

 2年ほど前、チャーリー・ブラウンやスヌーピーでおなじみの『ピーナッツ』の作者が亡くなったというニュースを見た。その後ほどなく『ムーミン』の作者も亡くなった。彼らの作り出したキャラクターは世界中の人に長年愛されて来たけれど、これからもやはり愛されて生き続けるのだろうと思う。

 ああいうキャラクターを作り出すということはとてもお金になる事で、一つ定番のキャラクターが出来たならきっと一生楽に生きられるのだろうなあと思った。ここはひとつ自分でもそんなキャラクターを作ってみようと、ノートに落書きを始めた。

 ところがそんな不純な動機で発想されたキャラクターはそれなりの品を備えてしまうもので、要するにあまりさわやかなものにはならない。おまけに完全なオリジナルキャラを生み出すというのは至難の業で、どうしても有名キャラのパクりというかパロディーのようなものになってしまう。

 というわけで、ムーミンのようなかわいいキャラを作ってみようと思って描いていたが、出来上がったのは似て非なるものとなった。雰囲気から『ドーミン』と名付けた。姪っ子達に見せたら喜んだので、意外と人気キャラになるかも知れない。せっかくだから、仲間をいっぱい描いて、ドーミン谷を作り上げることにした。

 ここで、一人、大切な人がいる。本家『ムーミン』にはスナフキンという人気キャラがいたけれど、『ドーミン』にもそれに代わるキャラが欲しい。実は名前は決まっている。しかし、その由来があまりにも下品なので躊躇するところではあるが、『ドーミン』にはやはりぴったりだと思うのでここにその名前にまつわる話を紹介しよう。

 私の住む街では毎年夏祭りがあって、その2日目には割と大規模な花火大会がある。皆さんそれを楽しみにしていて、老若男女がこぞって繰り出し、公園や歩行者天国となった道路に座り込んで花火を眺める。かなりの人口密度で、数十センチ間隔ぐらいで皆が座っている。

 2年ほど前だったか、私と妻の座っているすぐ横に高校生ぐらいの女の子達5人ほどのグループが陣取った。賢い娘たちではない。まれに見るトンデモ娘たちだ。出店で買ってきた串焼きの肉を、
「んめぇ〜これ!!喰ってみ、喰ってみ!」
 と吠えながら、野獣のようにむさぼり喰っている。普通、男でもああは食べない。

 驚くべき大声で話す彼女達の話は、下手をすると周囲数十メートルの範囲の人達の耳にまで達していたかも知れない。横にいた我々の耳はハウリングをおこすほどに痛めつけられた。近くにいた5歳ぐらいの子供があまりのうるささに堪え兼ねて、彼女達を恨めしそうに睨んだ。
「今、子供に睨まれたんだけど!」
 それだけのことで、彼女達にはなんの変化もない。これほどの大声で周囲の大ヒンシュクを買いながら、その中の一人がこんな話を始めた。
「ねえねえ、アナフキンってわかる?」
「なんだ?アナフキンって」
「穴の付近だよ、穴付近」
「なんだ、スナフキンの仲間かと思ったよ」
「○○子いるじゃん、あいつさ、『穴付近が痒い』とか言ってんの」
 以下、なにやらとても下品な会話が続くが、詳細は憶えていない。こんな会話を若い女の子が拡声器を使ったような大声で話している。おそらく周囲の数十人がこの会話をしっかり聞いていたと思う。目の前の綺麗な花火もかすんで見えそうである。

 といったわけで、この名前をいただいて、ドーミンの仲間は“アナフキン”と命名した。由来については忘れて欲しい。

 いい大人が描くものじゃないね、こりゃ。

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