フランク・フリップ
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ドゥービー・ブラザース 〜The Doobie Brothers〜

 ドゥービーズを一言で表現するなら、ズバリ『ゴキゲン!』だろう。カタカナで書いたら字面がゴキブリを連想させてあんまりご機嫌でもないが、ドゥービーズの音楽はとにかくノリノリで気持ちがいい。

 私が最初に聴いたのは『ワンステップ・クローサー / One Step Closer』だったろうか。当時のヒット曲から辿り着いたので、リアルタイムだった。オリジナルのドゥービーズからはすっかり変わってしまって、それほどノリノリな感じではなくなってしまった作品だが、それでもこれは大ヒット作の傑作に違いない。こんないわゆるAOR(Adult-oriented Rock:大人向けのロック)になっちゃった彼らの音楽を、中学生の子供である私が好きになっちゃったんだから、AORってのも結構いい加減なカテゴリーだ。その後、その前作でさらに傑作の『ミニット・バイ・ミニット / Minute By Minute』を聴いて、ドゥービーズはこのテディ・ベアみたいなマイケル・マクドナルドおじさんのバンドなのかしらん、と思ったかと言えば、そうでもなかった気がする。なんとなれば、あまり間を置かずに『スタンピード / Stampede』を聴いちゃったから。これぞ私が最高傑作と推す、マクドナルド未加入時のアルバムで、それこそ体調を崩して休養する前のトム・ジョンストンがノリノリで大活躍する、本物のドゥービー・ブラザースなのだ。しかし、このヒゲのおっちゃんは(他にもヒゲのおっちゃんだらけなんだけれど)、ゴキゲンなだけじゃない。このアルバムの3曲目、彼の手になるバラード、『テキサス・ララバイ / Texas Lullaby』にはすっかり泣かされちゃうのだ(場合によっては寝かされちゃう)。こういう曲も書けるところが天才とも称される所以。まあ、天才とはザッパクラスを言うもんだと思う私からすると、天才は言い過ぎかもしらんが、素晴らしい才能であることはそりゃもう間違いない。

 で、忘れちゃならないのがもう一人の重鎮、パット・シモンズの抜群のセンス。私は彼の繊細で伸びやかなハーモニーに包まれたバラード系の曲もまた大好きで、大ヒット曲の『Black Water』やら『South City Midnight Lady』やら『8th Avenue Shuffle』やらは、またこれたまらん。ジョンストンほど曲は多くないけれど、バラードだけではなく、これまたノリノリのドゥービー節を聴かせてもくれる。ヴォーカルとしてもいいし。彼もまた多才ですなあ。リーダーとしての貫禄と包容力、統率力も感じる。詳しい人となりは何にも知らないけど。なんとなく。

 マクドナルドのおっちゃんもそうだが、彼より少し前に入ったジェフ・バクスターも、言わずと知れたスティーリー・ダンからの移籍組で、イエスからクリムゾンに移籍したビル・ブラッフォードほどじゃないにしても(個人の感想です)、なかなかの大型移籍である。なんたって、どちらもアメリカを代表する素敵なバンドだから。どちらも素敵だけれど、スティーリーとドゥービーズは全然違う。そういうバンド間の移籍だから面白いんだが、でも実のところ、スティーリー・ダンはほとんどドナルド・フェイゲンのものみたいな感じであって、ジェフさんもマックさんもいいように使われていただけという不満がくすぶっていたのではなかろうかとも思うので、この移籍は彼らにとってみればそれはそれは嬉しい結果だったに違いない。特に一気に才能を開花させたマクドナルドの出世具合はまさにシンデレラ・ストーリーだ。でも、シンデレラというにはあまりにもむさ苦しいクマさんではある。

 しかし、調べてみたらジェフ“スカンク”バクスター先生(スカンクとは彼の別名で、アルバムのクレジットなんかにもちゃんとJeff "Skunk" Baxterと書いてある)、ミュージシャンの傍ら、独学で軍事アナリストになっちゃって、2001年にはアメリカ国防総省の軍事顧問にまでなってるっていうから驚いた。独特のヒゲを生やして、いかにも人を食ったような曲者の顔をしているけど、なんとも多才ですごいよねえ。

 さて、ドゥービーズ、何度か解散状態になって、いつのまにやら復活したり休んだり復活したりだけれど(私がフォローしてないから、いつのまにか、なのではある)、現在の状況はやたら大人数でオリジナルとはかなりメンバーも違うようだし、なんといっても内容的にはかなりつまらなくマンネリ的になっているから、最近作なんてものはあまり誉められたもんじゃない。歳をとると音楽が落ち着いちゃうし、単調になって意外性がなくなっちゃうというのはどのアーティストでも陥ってしまう運命なんだろう。野心、執念が弱まってしまうからね。残念だが仕方がない。ま、懐メロ大会もまた喜ばしいものだから、昔の名曲メインでライブをやるってのが楽だしファンの皆さんも喜ぶってもんです。

 さて、ジョンストンさん、シモンズさん、マクドナルドさん、あとはヌードセンさんという、男なら反射的に視線がフォーカスしてしまう字面のおじさん、そのあたりが聞き馴染みのある名前なんだけれど、なんたって入れ替わりが激しいバンドゆえ、数は多いし、そもそも名前も顔もわからんとか、顔と名前が一致しない人達多数で、絵を描くのは大変です。でもまあ、決まり事なんで主要人物中心に適当には描きました。お勉強しながら。古いバンドなんで、既に鬼籍に入っちゃった方も結構いらっしゃいます。

 「素敵」だの「凄い」だの「泣ける」だの、相変わらず音楽についてはこれといった的確で役に立つ話ができない私。特にこの辺のバンドになるとほとんど詳しくないしなあ。ま、そういうもんだと思って、絵だけ眺めてもらっていれば有り難い。

 でもね、やっぱりドゥービー・ブラザーズは素敵。元気をもらえます。

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