フランク・フリップ
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クイーン 〜Queen〜

 盛り上がりましたね、クィーン復活ツアー。フレディがいないとはいえ、こんな時代に生のクイーンが日本で見られるとは、よもや思わなかった。おまけに天下のポール・ロジャース付きだってんだから、信じられないほどの幸福に大興奮である。実際ライブを観れば、そりゃあもう涙がちょちょぎれて、ぼやけてなにも見えないほどの大感動であった。

 なんて方がいっぱいいらしたと思うが、私はライブに行っておりません。なぜならば、そんなにクイーンが好きでもないから。仮に、フレディ・マーキュリーが生き返ってフルメンバーでやって来たとしたって、見に行ったかどうか定かではない。むしろ、ポール・ロジャースの復帰したバッド・カンパニーが来日したとしたら、そちらの方にこそ喜んで行くに違いない。が、実のところ理由はそればかりでもない。もしも、お金を有り余るほど持っていれば、きっと行っていたに違いない。で、それなりに楽しんだはずなんだが、まあ貧乏なのでそのあたりは倹約しなけりゃいけないわけである。それも人生だ。

 さて、思い入れがないだけ、何を書こうか悩んでしまうクイーンであるが、どうなんだろう。まあ、ロックはロックだけれど、クイーンの音楽はとてもポップで、それゆえに、売れるまでは“子供っぽい”などと揶揄されたこともあったと聞く。クイーンの特徴はなんと言ったってフレディのボーカルの素晴らしさと、絶妙のコーラスだろうが、それ以上に決定的に、
「ああ、クイーンだなあ」
 と思わせるものは、ブライアン・メイのギター独特のくぐもった音色だろう。あんな音で勝負しているバンドを私は他に知らない。知らないだけで他にもあるのかも知れないが、あったとしてもきっとそれはクイーンのモノマネであろう。そもそもブライアンは、手作りギターであの音色を作ったと聞いた憶えがある。そのあたりのことを物の本で調べてみれば、
『100年近く使用された暖炉の木をもとに、自分自身のギターも製作した(このギターは今も使用)』
 と書いてあるが、この文章だけでは、だから自らの手作りかどうかは定かではない。

 それにしてもクイーンはヒット曲が多い。それに、ヒットの仕方がまず大ヒット、大々ヒットである。アルバムも随分出しているから、全部聞けば駄曲も多いのだろうが、私は『オペラ座の夜 / A Night At The Opera』と『ジャズ / Jazz』と『グレイテスト・ヒッツ I〜III / Greatest Hits I〜III』しか聴いてないので、そりゃもうどれもこれもいい曲ばっかりである(ばっかりはちょっと言い過ぎ)。とりわけ、『オペラ座の夜』の完成度の高さは素晴らしい。驚天動地の凄まじき傑作だと言える。

 中学二年生の時、クラスの友達が手にレコードを持っていて、
「それ、なに?」
 と尋ねると、クイーンの『オペラ座の夜』だと答えた。すると彼は、何かを突然思いついたような顔をして、
「ねえ、このLP買わない?500円」
 と、持ちかけてきた。
「凄くいいよ、これ。絶対、最高」
 と、強く勧める。そんなにいいならどうして売るのかと訊くと、あきたからとか、音楽の趣味が変わってきたからとかいろいろ言う。500円とは随分と安いので、買ってみたら傷だらけだったとか、やっぱり良くなかったなんてことがあるのかと疑ったが、あんまり勧めるので買うことにした。

 針を落としてみれば、聞き覚えのある曲がいくつかあった。少し前に姉が友達にダビングしてもらったお勧め曲集テープにこのアルバムの曲が入っていたのだ(このテープ、他にはジェフ・ベックとかケイト・ブッシュとかが入っていた)。クイーンは言うまでもなく独特だが、殊にこのアルバムでは、なんとも普通のロックとは違う、実に個性的な音世界を作り上げている(といって、ほとんどのアルバムを通して聴いたことがない、と書いているんだが)。妙といえば妙だし、変といえば変だが、誰にも真似の出来ない唯一無二の音楽を作り出せる才能こそが、クイーンにこれほどの成功をもたらしたのだろう。クイーンの個性は、メンバーたちの幸運な組み合わせがあってのもので、それぞれの個人的なアクを単純に合わせただけでは、ここまで独特の世界には至らないだろう。そこにはそれぞれのメンバーの個性による化学反応のようなものがあって、それがバンドとしての驚異的な独創性へと昇華していったのに違いない。

 クイーンにおける最も重要な人物は、もちろん柳沢慎吾ばりの出っ歯でワーストドレッサーのフレディ・マーキュリー(ワーストドレッサー部門ではロッド・スチュワートのライバルだったようだ)だろうが、ちょっと調べてみると、それぞれのメンバーがいい曲を書いている。クイーンがフレディばかりのバンドでないことは明らかだが、なにぶん彼の強烈すぎるインパクトゆえ、フレディのいないクイーンなんて、クリープのないコーヒーのようだ(古い)、ポール・ロジャースではマリームの代わりにもならない、なんてことを思っているファンがいてもまあしょうがない。しかし、ポール・ロジャースは素晴らしいんである(まとめ方間違い)。

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