出不精が行く!!
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NZ新婚旅行記 〜その5 スキヤキの夜〜

 何がどうということのない旅がつづく。ワンガヌイのハゲオヤジの写真は撮る事が出来ず(今となっては理由が定かではないが、おそらくオヤジさんが忙しかったかなにか)、やや落胆しつつモーテルを後にした。時間に余裕があるので、少し川沿いを歩こうとワンガヌイ川沿いの公園を散歩した。カモが歩いていてかわいい。カモは日本のカモと特に変わらない。変わっているのは自動車である。日本では考えられないほどの古い車が走っている。クラシックカーということではない。塗装もハゲハゲになったオンボロ車が割と当たり前に走っているのだ。乗れるうちはどこまでも乗ってやろうというニュージーランド人の心意気である。日本では5,6年で買い換えたりなんて事が普通だが、こちらの人は乗り潰すのが珍しくないようだ。車検制度などの違いもあるのだろうが、日本という国は本当に物にあふれて物を大切にしない国だなあと改めて感じる。ハゲチョロになろうがなんだろうが、機能を満たせばそれでいいのだ。

「まあ、あの人、あんなハゲチョロになるまで乗り続けるなんて素敵!男よ!」

 てな重厚な価値観がはびこる社会になる事が望ましい。無駄に生産して無駄に回転させる我が国の経済システムってものは、間違っとる。ちょっと作って、たまに買って、働き過ぎずにみんなでノンビリ生きてりゃいいじゃんか、と思うのであった。

 さて、この日の目的地は首都ウェリントンである。途中道を間違え(といっても、そもそもどういうルートで行っても構わないのだが)、パーマストン・ノースなる街を通過し、ついでにそこで飯を食い(やっぱりマズいサンドウィッチかなにか)、2時過ぎにはウェリントンについた。首都だけに整然とした街並みで、ちょっと重厚な雰囲気がしないでもない。ここは北島最後の街でもあり、明日はこの街の港から南島ヘ渡るフェリーに乗るが、とりあえず本日はウェリントン観光である。といっても、これといった見どころがあるわけでもなく、ひとまずビクトリア山なる山があるらしいのでその山頂へ。ビクトリア山といったって、山というほどの山じゃない。ちょっと小高い丘といったところだが、街全体が眺められて気持ちのいい場所ではある。芝生の上に腰掛けて、風に当たりながら街並みを眺めていると、日本人の若い女の子3人組がわしゃわしゃとやって来たから、落ち着かなくなって山を下り、その足ですぐ宿探しを始めた。北島最後の夜は海が良く見える宿にしようと、しばらく走り回った末、高台にあるホテルに決めた。が、入った部屋は見晴らしが悪いなんてもんじゃない。海なんて見えやしなかった。

 ホテル探しをしている途中、『さくら』という日本料理屋を見かけた。『地球の歩き方』にも紹介されているので、今日はそこで食事をする事にした。そんなに遠くもなかった気がするから、散歩がてら歩いて捜す事にした。なにか面白いところはないかフラフラしながら捜したが、『さくら』も他の面白いところも見つからない。そのうちに雨が降ってきて、ついに土砂降りになった。身動きができず、雨宿りをしながらどうしようかと思っているうちに夜になった。いいかげん腹が減ったしもう動き出しちまおうと、雨の中を歩き出したらすぐに雨が止み、見ると『さくら』が目の前にあった。こんなに近くにあったなら、何十分も雨宿りする必要もなかったと思えど後の祭りである。過ぎた事は忘れて楽しく食事をしよう。

 店に入ると、ちょっと微妙。なんとなく違和感があるが、ほぼ和風である。席について周りを見回すと、さすがに日本人が多い。近くに中年のおじさんのグループがいて、その中の一人が妙な格好をしている。服装がとても白い。そして短い。

「もしやあれは、下着姿か?」

 先程の雨に濡れてしまったのかも知れない。しかし、その格好で食事とは…。まあいい。他人の事は気にせず久し振りの日本食を堪能しよう。

 ウェイトレスさんはプロンドのニュージーランド人だが、日本語をそこそこ話す。かなり垢抜けないカントリー娘といった風情で、決して美人ではないが、ちょっとした会話をするだけでなにか嬉しくなってしまうような、とても明るく、笑顔のかわいい性格美人である。この彼女、体全体がそれなりに太めではあるのだが、それにしても、ものすごいバストをしてらっしゃる。今の日本ではイエローキャブだなんだと言っているけれど、そこら辺の巨乳タレントなどは全く比べ物にならない。このウェイトレスさんからすればそんなものは子供の遊びに過ぎないのだ。まさに脅威の世界である。私は日本であんなものをついぞ見た事がない。

 と、こんな事を書くと、私はそんなことばかりに関心があるのかとか、いやらしいだとかいった感想をもたれる可能性もあるが、それはちょいと違う。あれは、言うなれば暴走族みたいなもんである。小鳥のさえずりに耳を傾けているところに、爆音轟かせて大挙して押し寄せる暴走族。どんなに耳を澄ましても小鳥のさえずりはもはや聞こえない。私の聴神経はすべて暴走族の爆音に占領されてしまうだろう。それと同じことで、彼女の胸も私の全ての視界を遮って、私の視神経を占領してしまったのだ。それだけインパクトがあったということを言いたいまでで、興味云々とはまた別の話。そのあたり誤解無きよう。

 さて、我々が注文した料理はスキヤキセットである。出てきたものは何かがちょっとずつ違うが、概ねスキヤキだった。肉の質、ネギの種類、その他ニュージーランドでは手に入りにくい材料が色々あるのだろうから、完全に日本と同じスキヤキではない。はっきり言えばあまり美味くなかったのだが、久し振りにさっぱりしたものを食べたので(スキヤキといえばそれほどさっぱりした料理でもないけれど、ニュージーランドの普段のメニューに比べると断然さっぱりしている)、かなり満足した。セットには刺し身もついていたが、まだ残っているのに下げられそうになった。もしかして、箸をハの字に置いておかなかったからか?

 デザートの抹茶アイスはアイス好きの妻でも大満足のおいしさだったらしい。私はそもそも抹茶アイスというものをそれほど美味いとは感じないのでなんともいえない。

 そんなような、なんということのないウェリントンであった。いよいよ北島とも一旦おさらばである。

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