出不精が行く!!
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NZ新婚旅行記 〜その3 食い過ぎです〜

 初日の晩。ニュージーランドでの初めての食事をするために、ホテルから徒歩でオークランドの街へ出た。特にあてもなく、2人で適当に街を彷徨い歩いた。

 街並みはこざっぱりと整理され、小奇麗なビルが林立していた。ビルのデザインが少し変わっている。東京のビルよりもやや派手めにデザインされているものが多い。日本国内で言えば、福岡に建つビル群がこれらに似ているかも知れない。かつて福岡に行った時に、ビルのデザインが東日本のものよりも随分派手に思えた。ちょうど北の海の魚が地味なのに比べて熱帯魚が鮮やかであるような違いかも知れない。ニュージーランドは日本より遥か南にあるが、熱帯にある訳ではないから、そういう理由で建物が派手なわけではないだろうが、とにかくちょっと違う。悪く言えばやや田舎臭いデザインなのかも知れない。

 こういっちゃなんだが、オークランドの中心街の印象はそんなもので、これといって感心はしなかった。なんといっても歴史の浅い国なので、ヨーロッパのように千年とか二千年といった文化史を楽しむ事はできない。せいぜいが白人が入植した頃に建てられた教会だとか、そんな程度のものなのだろうが、これといって関心が無かったのでよく見ていない。

 しばらくそこら辺を見て回り、すっかり暗くなった頃、夕食をとる店を探しはじめた。思ったほどレストランは多くない。特にあてもなくやって来たので、もちろん美味い店など知る訳もなく、何を食おうかさえ定まってはいない。どうしたもんかと思っていた時に目に飛び込んできたのがウェンディーズの看板。日本でもいくらか見かけるハンバーガーショップだ。日本で食べたことはおそらくないが、ハンバーガーなら安くてそこそこ美味いことは保証されているだろうということで、ここで買って帰る事にした。なんといっても疲れているので、そろそろ店探しも終わりにしてホテルで落ち着きたかったということもある。美味いものを食うのは明日からでいいという気分だった。

 セットメニューをそれぞれ注文したが、出てきた商品を見てたまげた。でかい!ハンバーガーもでかけりゃポテトの量も半端じゃない。おまけにコーラは500mlぐらいはあるんじゃないかという分量で、日本人なら1人前を2人で分けあってちょうどという感じである。ニュージーランドの白人は体の大きなアングロサクソンだし、先住民のマオリ族もハワイあたりと同じポリネシア人なので武蔵丸や小錦のようにガタイがいい。その彼らが肥満に至るような食事を提供しているわけだから、ハンバーガーも何もかもがでかいのは当たり前だが、しかしどうにも不経済な話だ。小さい事はいいことだと、小さめの人間としては強く思う。

 このハンバーガー、味の方はいまいちだったと思う。ハンバーガーだからしょうがない、翌日からは美味いものを食おうと考えていたけれど、ニュージーランドにおいては美味いものを食うということは、そう簡単なことではなかった。端的に言えば、ニュージーランドの食い物は基本的にマズイということだ。イタリアのようにどこへ行っても美味いものが食えるなんてことは本当にないから、これからニュージーランドへ行こうと思ってる方は注意したほうがいい。ついでに言うなら、ニュージーランドには美人もいない。いないと言い切ってはいけないだろうが、少なくとも私が滞在した10日ほどの間に、美人だと思うような人にはついに一度もめぐりあわなかった。“一度も”というのは全く驚くべき事で、これは『日本3大ブス産地』と言われていた私の故郷の仙台(噂によると今はそうでもないらしいが)にも匹敵するような勢いである。だからかえって気持ちが落ち着く場所であるような気もするが、そういう意味ではニュージーランドは私にとって第二の故郷と言えるのかも知れない。ニュージーランドの女性はおしなべて田舎臭く、どうもほっぺたが赤い、ソバカスだらけの女の子、というパターンが少なくない印象である。ニュージーランドとイタリアの女性の美しさを比較してみれば、どうにも問題にならないぐらいの開きがある。これはもう好みの違いとかそんなことでごまかせるレベルの差ではない。だから、綺麗な白人女性を眺める“めあて”を持って外国へ行こうというのなら、イタリアとかスペイン辺りを目指した方が良い。ニュージーランドヘ行くのなら、大自然と羊、それからみなさんの人柄をめあてに行くべきである。

 疲れていたその日はとっとと寝た。翌朝、どこか遠くへ行ってしまっていたカバンが部屋に届けられた。あまりの疲れでギリギリまで寝ていたために、食事もシャワーもバタバタと片付けてホテルを飛び出した。この日の目的地はロトルアという町である。オークランドからは360kmぐらいある。途中、ワイトモケーブなるところへ寄った。ケーブとは洞窟の事だが、この洞窟、世にも珍しいものを見る事ができる。

 その正体はツチボタル Glow Wormだ。洞窟の天井に無数に貼り付いて青緑色の光を放つ。いわば天然のプラネタリウムのようなもので、ツチボタルの灯以外にはなにも見えない空間を、観光客を乗せたボートがゆっくり静かに移動する。まったく幻想的な光景だが、この虫の正体、実はウジのようなものらしい。発光する仕組みが(少なくとも当時には)はっきり解っておらず、学術的にも関心の高い生物のようだ。

 このワイトモケーブへは入場料を払って入るのだが、一部区間をボートで移動するために、入場時刻が決められている。待ち時間の暇つぶしのためか、横にキーウィの見学施設が設置されていた(と思う、たぶん)。果物を眺めてもしょうがないので、もちろんこれは鳥のほうのキーウィだ。人間がやってくるまでは肉食獣などの天敵がいない環境だったために、ニュージーランドには飛べない鳥が何種類もいる。国鳥であるキーウィもそんな飛べない鳥の一種だ。真ん丸くて、くちばしが細くとんがっている。体だけを見ると、確かにキーウィ・フルーツそっくりである。

 ワイトモケーブを後にして向かった先は、その日の宿泊地ロトルアである。ひとまずオークランドから1日で行けるそれなりの観光地ということで訪れたに過ぎないところなのであるが、なにがあるかというと、温泉とマオリの観光村がある。他に羊の毛刈りショーなどの行われる牧場や、競馬場もあった。とりあえず到着当日は観光をする暇がなく、まずは宿探しである。

 宿はモーテルだ。日本のように微妙な郊外にいかがわしく建っているイメージはなく、健全で安くて広いというのがこちらのモーテルである。料金はツインで素泊り60〜70NZ$(ニュージーランドドル)程度が平均的なところ。当時のレートが1NZ$=約70円だったから、一泊2人で4,5千円という驚くほどの安さだ。それでいて部屋の広さは10畳ぐらいは当たり前にあるし、場合によってはベッドルームが別になっていたりすることも珍しくない。風呂、テレビ、冷蔵庫などは間違いなくついているし、朝食は頼めば別料金で部屋へ運んでくれる。別棟でコインランドリーがあるのもほぼお決まりで、とにかく旅行者にとってはこんなにあり難い国はないという素晴らしさだ。イタリアに比べると随分とお金がかからずに済む。

 モーテルにはそれぞれ大きな看板が道路際に立っていて、探すのは容易である。モーテルが建ち並ぶ道路を一通り走ってみて、ここなら良さそうかなという一軒を選んで入った。

 フロントでベルを鳴らすと、奥から優しそうなおじさんが出てきた。部屋は空いているという。一応部屋を見てから決めるというのが一般的なようで、まずは客室へ案内された。驚くほど綺麗で広い。それでいて5000円もしないというから、こちらとしては何か不満があるわけもなく、すぐにOKしてフロントに戻った。書類にサインをすると、鍵の他に、大きなビンに入った牛乳を渡された。その後どのモーテルでも牛乳をもらった。宿泊客にフロントで牛乳を渡すというのが、ニュージーランドのモーテルでの決まりごとであるようだ。ニュージーランドの牛乳は濃くておいしい。なんとも温かみがあって、うれしいサービスである。

 夕飯はモーテルのおじさんに近所のレストランを教えてもらって食べに行った。牛ステーキとサーモンステーキを頼んだが、牛肉のでかい事ときたら草履の如しである。見た目には大きいが、食べてみると味も大きい。すなわち大味である。もっと言うと、かたくて不味い。日本の霜降り牛のように言うなれば病気牛(筋肉の間に脂肪が細かく入り込んでいるようなものは、全く不自然に作り出されたゾッとするような病気牛である、という話を以前本で読んだ)ではないから体にはいいかも知れない、ということだけを頼りに食べる肉だ。以後、ニュージーランドでステーキを食おうとは思わなかった。

 翌朝、朝食をとろうと思ったら、モーテル敷地内にあるちょっとしたレストランはまだ開いていなかった。困ったなあとウロウロしていると、モーテルのおじさんが向こうのほうで手招きしていた。実は朝食は前の日のうちに頼んでおかなければならなかったのだが、おじさんはレストランに連絡して我々の朝食を急遽用意してくれた。やはりとても優しい良いおじさんだ。だが、そのメニューたるやものすごいボリュームで、普段の朝食の倍は食ったと思う。それもソーセージやら分厚いベーコンやらで、大変に油っこい。こんなものを毎日食っていたら、帰国した頃には2人で痛風になっていそうである。味で勝負できない分、ニュージーランドの食事は量で売っているのかも知れない。やはり2人とも隋分太って帰国する事になった。

 この朝、妻を狂喜させたものに出会った。おそらくニュージーランド製のテレビドラマだが、出演者がちょっと特異である。主人公役の俳優がアヒルのヒナ。共演者にモルモットが複数。いずれも本物である。それらの動物が色々な扮装をさせられてドラマを演じる。CGなしの手作り風だ。エイリアンものあり、戦争ものありで、内容もバラエティに富んでいる。毎朝5分ほどやっている番組らしく、この旅の途中、3度ほど見る事が出来た。あまりにも可愛い過ぎるといって妻は大騒ぎだった。

 これを読まれている日本のテレビ関係者の皆様、あの番組を輸入するか、パクって作るかすることを、希望します(昭和天皇風)。

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